fc2ブログ

アサウラの生存観察室

皆様の優しさによって生かされている者の記録です。

さぁ、ということで……。











ベン・トー最終刊……

『ベン・トー12 デザートバイキングプライスレス』
本日ついに発売!!



___2014022420275414f.jpg

ベン・トー 12 デザートバイキングプライスレス (ベン・トーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 12 デザートバイキングプライスレス (ベン・トーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
(2014/02/25)
アサウラ

商品詳細を見る







 そして特典はこんな感じです!!








sd1401_bento_sassi_H1_H4_sai_n.jpg

 全国の主要書店さんでベン・トー12を購入するともらえるそうです。
 中は今後収録予定のない、短編『永遠の始まり』と長めの駄文です。
(詳しくはSD文庫HPへ)




sd1311_bento12_co_kinokuniya_sai_n.jpg

 こちらは紀伊國屋さんでもらえる、掛け替えカバー。
(詳しくはSD文庫HPへ)


 上記について詳しい情報は、こちらの編集部のブログをご覧ください。

●SD文庫ブログへ






 皆様、よろしくお願いいたします!!







 ってなわけで、以下に、だらっと何だか今このベン・トーを作り続けた六年間を振り返った雑感的なものを書いてみたとです。
 別に読んで面白いものではないと思うので、特に読まなくても問題はないんだぜ!






































 いやぁ~六年。長いようで、短いような、あっという間だったような、一瞬だったような、そんな気がします。




 ……この感想が単なる老化が及ぼした感覚でないことをアサウラは強く願っております。







 それはそうと、今一度振り返ってみると、よくまぁここまで出して来られたな、と思わずにはいられません。
 似たようなことは特典小冊子の方にいろいろ書いてしまったので割愛しましょう。

 とはいえ、実際ベン・トーは狙って作った作品ではない、ってことを考えると全て偶然の産物だったのかもしれません。

 あの頃、担当様にプロットのボツを喰らい続けた末に電話口でクソのような喧嘩を延々と続けたあげく、東京に呼び出されたのもそうですし、たまたま『紅』のアニメ化で担当様が腐った魚の目をして、腐った魚の臓物のような有様だった結果一瞬で通ったベン・トーのプロットもそうですし、その際に居候していた(現在はスカイツリーでお馴染みの)押上で、その近所に不自然に安い物件があって何の事故物件なのかと興味惹かれつつ、東京の相場を見るために不動産屋に行ったら、妙にやる気のある若手の店員が熱烈に探してくれて、「アサウラさん、ありましたよ! どうです!!」と百点満点の答案用紙を親に見せる小学生みたいな顔で勧めてくるものだから、遊びで来たとは言えずに気が付いたら契約書にサインしてて、わけもわからないままに東京進出が確定したり……とか。

 また、柴乃さんに関しても……まぁ、これは12巻のあとがきに書いたので、割愛ですな。

 なお、この居候の最中に、マルトミ元編集長の気遣いで私に、『ヤングガン・カルナバル』を初めとした多数の著作の他、『サイコパス(脚本)』、そして最近では『王様達のヴァイキング(ストーリー原案)』をやられている深見真先生をご紹介していただきました。



王様達のヴァイキング 3 (ビッグコミックス)王様達のヴァイキング 3 (ビッグコミックス)
(2014/01/30)
さだやす、深見 真 他

商品詳細を見る



 ちなみに深見さんを、私はプロになるよりはるか昔、彼がデビューした直後にテレビで見たことがありました。風呂上がりで布団の上でごろごろしていたところ、EZTVとかいう情報系番組で、たまたま「新時代の作家!」的な扱いで特集を組まれていた……はず。

 あの頃のあの人は秋葉原の、狭い部屋で本やら資料やらに囲まれた小汚い(失礼)部屋に住んでいて、そこで原稿を書いているようでしたが、その姿がやたら格好良くて、如何にもクリエーターという感じで憧れを持ったものでした。
 そんな人から一緒に遊びましょう、ということで東京大学のセミナー?に誘っていただくと、そこにもう一人いらっしゃいまして、それが後に一緒に『AKIBA'S TRIP』を作ることになるこひろせPでした。

 三人でセミナーの後かその前だったかは忘れましたが、東大のカフェテリア的な場所で、サブウェイを食べながら最近のゲームや映画やアニメ、そして「こんなのが面白い」「こういうのはこうした方がもっといい」「こういうのをやってみたい」「こういうのを作ろう!」といった話を延々としたのですが……その時になって、私は自分が東京にいるのだと初めて実感したのを覚えています。
 というのも、そういう話はオタクが複数人も集まれば誰だってする話なわけでですが、その時の、東大のだだっ広い人けのないカフェテリアにおいては意味が違うと肌で感じました。
 何故ならこの人達は実際に夢に描いたものを作ってきた人でしたし、これからも作れる力を持った人達でした。彼らが話す言葉の意味やそこに宿る力、それが今まで私の周りでしてきたどうでもいいオタク話とは根本的に違うような気がしたのです。
 そんな人達が目の前にいる、テーブルを囲んでいる、話に加えてもらっている、それが本当に嬉しくて、感動的で、何だか漫画やアニメの中に入ったような気がして……日本のサブカルを発信する場・東京にいるのだと、そう感じたのでした。

 ……まぁ、その時はまさかその後本当に一緒になってゲーム作ったりするとは思いもしませんでしたけど。

 東京でやっていこうと決めたのは、この時だったのかもしれない、と今になって思いますが……実際、どうだったんでしょうね。



 まぁ、そんなこんなな有様で東京に出てきたものの、前作のバニラが全然売れなかったこともあり初版は絞られ、そこから計算されてわかる印税の額では東京ではとてもやっていけないのがわかって、玄関で靴履いたまま悔しさを噛みしめ、もう全部ぶん投げて北海道に帰ろうかと考える始末。ですが、そんな時にファンレターが届いて、もう少し頑張ってみようと再度やる気になるものの、重版かかることもなくさらに初版部数が絞られた二巻が出た頃にはほぼ年内撤退をしないと北海道にすら戻れなくなる事態に。

 とはいえ、六月に二巻が出た二ヶ月後の八月、足下を茶色いGが無数に動き回るというアナーキーな夜中の某マクド●ルドで原稿を書いていると担当様から電話がかかってきて、謎のタイミングで重版が決定するという奇跡が。

 実はこれ、平和の温故知新さんという今は活動を停止なされたラノベ系ブログ?で、ラノベ批評家のみによるラノベ上半期のオススメ作品の投票……といった企画の結果だったりします。この頃、某G文庫で超絶人気だった某作品があったものの、誰もがそれに入れると踏んだであろう批評家の方々が変化球であるベン・トーに投票してくださったようで、結果として本命を押さえて一位を取るという奇跡に繋がりました。

 そして、それを見た大勢の人達が(インパクトもあってか)一斉に購入してくださり、集英社の在庫が底を突いた、ということのようです。


 とはいえ、重版は嬉しいものですが、軽くかかっただけでは正直ちょっと高めのお小遣いレベルで、実際貯金残高が底を突いて家賃・光熱費等々滞納という事態に展開していきました……。


 そうこうして三巻で苦しみ藻掻いていると、ベン・トーが『このライトノベルがすごい!』で20位に入るという奇跡が起こりました。

 それも一般層からではなく、協力者(ラノベに詳しい人?)の方々からの投票で入り込んだ様で、非常に嬉しかったです。実際、売り上げが少ない作品はそういう方々からの投票でもないとこういった人気投票企画では上位に入らないわけですが、逆を言えばそれだけ読んだ数少ない人々に面白いと感じていただけた(満足してくださった割合が高い)、ということなわけで。

 売れた本=面白い本、という考えで行くと確実に駄作扱いですからね、あの頃のベン・トーなんて。

 そして、年末年始、同郷の先輩達を初め、幾人の方々から呑みに行こうと誘われるもお金がないので参加も出来ずに何件も断って家で過ごし……何とかかんとか年を越して……という感じですね。


 また、そういった時に、ブログを見ていたという読者様から支援物資という名の食料が!!
 これが本当に嬉しかった! そして本当に助かりました。
 モノカキ的にも、物理的にも生き長らえることが出来ました。

 実際、PCだけ持って北海道に逃げるだけのお金は別途あったとはいえ、サラ金の利用方法とかを調べ始めていた時期でもあったので、こうなれば撤退資金も全部ぶち込んでギリギリまで持ち堪えてやろう、と踏ん張ることになりまして、それによって無事にシリーズが刊行できたといっていいかと思います。


 そうしている内に徐々に重版も……。
 というのもこのラノ20位だけでも立派な順位なのですが、それ以上に上位の作品がもう〝皆さんご存じの〟といったレベルの作品ばかりで、結果的に一〇位以下の作品に注目が集まった……ということのようでした。


 ある意味ではこれらの期間がベン・トー制作中における最大の修羅場だったような気がします。



 また、これらの時期にいろいろと重なって結構ボロボロだったせいなのか、プレッシャーに潰れかけていた頃がありました。
 生まれて初めて精神的な問題でトイレでえづくというのを延々と繰り返し、手足が震えて、一生懸命書いてはいても自分が書いたものが面白いのか否かがまったくわからなくなって、完全に追い詰められた時です。
 本当にこれはもうダメだ、どうにもならない……いっそ逃げられるなら逃げてしまいたいと本気で思った時、迷惑を覚悟で深見さんに助けを求めたことがありました。
 お忙しいというのは重々判った上で、無理を言って深見さんに電話をかけ、会っていただけることに。
 そして深見さん宅近くのカフェ?で、書いた文章を読んでいただきました。
 会いに行くために電車に乗ってからずっと膝が震えていたような記憶がうっすらあります。
 でも、深見さんは一読した後、ニッコリと笑って言ってくれました。

「何だ、ちゃんと書けてるじゃないですか。心配しましたよ、アサウラさん電話で凄く追い詰められた声してたから。……ところでこの後時間あります? 折角来たんですから遊びましょうよ」

 実際にはもう少し「大丈夫ですよ」的な言葉が入っていたかもしれませんが、実際、こんな感じでした。そしてその後は深見さんの部屋で、延々とオススメのマニアック映画のグロやら拷問やら派手なだけの爆破シーンだったり残虐だったりする戦闘シーンやら一般人からしたら「作る方も見る方も頭おかしいんじゃねぇの?」っていうシーンだけを抜粋して深見さんの解説付きで延々と見せていただいて一日を過ごしたわけなのですが……これが、本当に救われました。
 こっちはもう逃走寸前、心身共にボロボロで人生懸けて助けを求めたのですが、深見さんはさらっと「遊びましょうよ」ですからね。文章だけだと「?」となるかもしれませんが、実際この少ない言葉で何日も何日も苦しんでいた私のプレッシャーを全部払拭してくれて、これからもまだやっていける力を与えてくださったように思います。

 体験してないと伝わらないかもしれませんが、本当、特効薬でもぶち込まれたかのように、あの言葉を言われた瞬間に、本当に気が楽になりました。
 笑って別れて、その後電車に乗っている際に少し泣いたのも今ではいい思い出です。
 ベン・トーを続けられたのはもちろん、モノカキとしても今こうしてブログを書いていられるのも、全てはその時の深見さんの言葉があったからこそだと思います。
 感謝しても感謝しきれません。


 おかげでその後は締め切りとかぶっ飛ばしても気にしないだけのタフさを手に入れ……ゲフンゲフン。
(アサウラはたまに大変愉快な冗談を言います。ご注意ください)


 そんなこんなことがありつつ、出来ないように作っていたはずなのにアニメ化したり、漫画化したり、カードゲーム化したり、NHKに出たり……様々なことがこの6年の間に起こり続けました。
 そうした中で、自分の執筆のペースやら技術やらも学んだり何だかんだでいろいろと経験を詰んだりもしまして、様々なものを得ることが出来たように思います。

 しかしながら、そうしたものより何より、ベン・トーを続けて来たことで大勢の人と出会うことが出来たのが何よりの成果というか、私が得ることの出来た最大のものでした。
 北海道でくすぶっていた時、社会に出ていく関係で友人達は減る一方だったのに、ベン・トーを始めて、東京に出てきてからというもの、いろんな人と出会う機会を与えて頂きました。
 それこそ深見さんを初めとした同業者の人達や、全然違う業種の方々、未だに何をやっている人なのかわからないけれど良く会う人、そしてサイン会などで直接読者の方々とお会い出来たり、サターンマスク被った人達と仲良くなったり、同人誌を幾冊も作ってもらえたり……本当に、大勢の素晴らしい人に会えました。
 コミケでアキバズトリップの同人誌を出した時などでは、暑さで朦朧として汗でびちゃびちゃな有様の、「東京のラーメンはうまいブヒィ!」とか今にも言いそうなこんなデブと握手をしにわざわざブースにまで来てくださった方もいたりとか……ね。ヤベッと思ってシャツで拭ったら、そのシャツがびちょってる……という非道い有様で、えぇ。ちょっとしたテロレベルなのに、そんな状態でも構わず握手してくれる人がいたりとか……本当、大勢の、いろんなタイプの、素晴らしい人達に出会えました。


 そうした人達と会えたことが、本当に何より嬉しく、皆さんの顔を思い出す度にベン・トーをやってきて良かったと思えます。

 しかし、上記の流れからもわかりますように、全てが紙一重、ギリギリで生き残ったり、偶然だったりといった有様で……どれか一つでも何かが違っていたら六年間も続かなかったことでしょう。
 運があったからやって来られたのか、運がなかったから紙一重だったのか……それはわかりませんが、少なくとも大勢の人達に支えられてやって来られたことだけは疑いようはありません。


 ……と、まぁ、何だか綺麗ごとのような照れくさいことを並び立てた気もしますが、この気持ちだけは変わりません。




皆様! この六年間……

ベン・トーを愛して頂き、本当にありがとうございました!!

 ヽ('∀`)ノ



 そう遠くない内に新作を発表できたらなぁ~とか思っておりますので、皆様、またその時も変わらぬお付き合いをしていただけると嬉しく思います。


 どうか、今後ともアサウラをよろしくお願いいたします!! 



拍手する






スポンサーサイト